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二軒茶屋

二軒茶屋

三重県 伊勢市

敷地面積
230.88m2
建築面積
163.96m2
延床面積
247.43m2
構造規模
木造2階建
施 工
高山建設株式会社
  • 第41回 中部建築賞

おはらい町通りに面した内宮の近く、二軒茶屋の店を出すこととなった。

二軒茶屋は、伊勢の菓子屋では最も古いひとつで江戸時代からの創業になる。当代の社長が、家業で展開する麦酒を中心に、食事を楽しむ店として計画された。

間口が狭く奥行きが長いという町家特有の敷地に、隣接して世古が通る。世古は一般でいう路地にあたり、伊勢の町中には至る所に名残を見ることが出来る。建築上は市道扱いなのだが、基準法からいうと道路中心から2mのセットバックが求められる。しかし、こうした世古もひとつの伊勢の文化遺産という気運が高まり、これを建てる直前に市の指定を受けることが出来た。従ってかつてのままの世古を見ることが出来る。

敷地は、世古を挟む飛び地伝いに五十鈴川に面しており、対岸の風景と背景の神宮の山々を、室内に大きく取り込むよう試みた。

予道路側に厨房を配し、川に面して大きく客席を設けながら、川を含む対岸の景色を取り入れたい。そこで客座を段状に作り、どの席からも遮られることなく風景を望むことが出来る。また客座への通路は、隣を走る世古に添って計画した。格子を入れて視線を緩和しながら、世古の空間までをも取り入れてみた。2階の座敷も川に向かって開放され、座敷外には張り出した回廊を設けて、室内と川沿いの風景との一体感を演出した。

階段状に作る床は難工事だったが、出来てみるとそれぞれに独立した空 間が形づくられ、リズミカルな座敷となった。また軒高についても、かつての町家を踏襲している。この地域は街並み条例で建物の制限が掛けられているものの高さについての決まりはない。形だけの模倣になってしまっている近隣の現状にあって、本来の伊勢における町家という建築に対して一石を投じてみた。

二軒茶屋

前田 伸治
暮らし十職 一級建築士事務所

Shinji Maeda & Kurashijisshoku Archiects Office

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