三沢の数寄屋<屋根>

すっかりと更新が途絶えてしまって、何とも忸怩たる気持ちが拭えない。
コロナが次第に落ち着きを見せ、仕事の方も動き出して出張が続いている。
それでも、やることが詰まっている状況には満足している。
暫く頑張って、乗り切りたい。
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              <建物全景を見る>
三沢の数寄屋も、秋の上棟以来、屋根周りの仕事に掛かりっきりだった。200坪の建物の屋根というと、屋根面積では400坪近くになって、仕事量は留まることを知らない。化粧垂木を打って、起りに合わせて野垂木を配り、断熱処理をしながら野地板を打つ。
三沢は構造計算上、最も積雪重量が重い地域である。通常の数寄屋建築ならば、1.5尺間に配る垂木も、1尺間となって、垂木自体も太くしなくてはならず、大工の手間も自ずと掛かり、思うように進まない。
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              <建物中庭を見る>
それでも、漸く屋根仕舞いがついて仮設の屋根が取れた。
日本建築は屋根の造形が最も大事なところで、この瞬間、果たして設計が良かったのかが試されるところ。各所につく破風も、原寸で書いたものの、建築全体を見た時にどうバランスできるか不安は拭えなかったが、何とか思ったような形になって、胸をなでおろした。
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            <中庭 屋根の取り付き>
すでに三沢は一度、軽い積雪があったが、これからが本格的な雪の到来だ。
これから内部の仕事に取り掛かりる。
外部と密接したいと、壁や柱を極力少なくして計画したが、その点でも各所うまく納まったように感じている。寒冷地だと木の建具で内外を仕切ることだけでは住環境が保たれず、どうしてもサッシに頼らざるを得ないが、その納まりも十分に検討し、徐々に現場も取付を始めた。
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           <西玄関より中庭部分を見る>
歳末を迎え、一昨日が今年最後の東北だったが、寒さ厳しく北国を実感した。
各所で忘年会も再開され、私も同調しながら、各地の面々と酒を酌み交わしている。やはり建築は、面と向かって職人と話しながら進めなければ仕事にはならない。そのためにも酒席は、ひとつのコミュニケーションの機会であり、互いに思うことを話す絶好のひとときだ。
こんな楽しみを共有できる時間が、誠に愛おしく感じている。
  (前田)