福岡鮨店別邸

すっかりブログの更新も滞ってしまい、誠に汗顔の至りである。
目が治った昨年の7月から、溜まった実施設計に掛かりっきりで全く休みがない。
綱渡りは慣れているものの、さすがに疲労困憊といったところか。
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            <天然杉の材料を選定する>
福岡の鮨店が別店舗を作られるということで、昨年11月に話があった。
実施設計が詰まっていたものの、急遽とのことですぐに基本設計をまとめ設計に掛かった。請けていただく工務店も急ぎのことで対応できないと知り、紆余曲折あったが他所で話をつけ何とか纏まった。
先日、ようやく工事契約も締結し現場がスタートした。
早速材料を調達するべく、時間を見計らって京都に出向き、いつもの京北町で丸太を選別し、先日の加工場で大工と木作りに臨んだ。
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              <丸太にツラをつける>
自然の木は、ただ立てればいいかというとそうではない。
選んだ木が最も美しく、これまで木が生きてきた風格が、より際立つように整えねばならない。そのように木は、人間の見る目によってその持つ力を引き出し、場にふさわしいあり方で使うことが、私たちの使命と思っている。
特に丸太は、そのまま使うことをせず、ツラといって、削って整えながらその存在感を際立たせていく。そうすることで自然はより一層、私たちにとって身近な存在となる。
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                <整えた丸太>
今回は30代の大工が棟梁を務めることになり、選んできた木の見どころと、それを生かすための目を話してきた。綺麗な丸太に刃物を下ろすには相当な勇気もいるのだが、それを経ずして木と一体にはなれない。
前日より体調を整え、早朝より木作り臨んだ。
結果はまた竣工したら紹介するが、思ったように整えることができたようだ。
人の手が入って、初めて自然は生き生きと私たちにささやきかける。
このような時はとても緊張するが、真剣に向き合う気持ちが自分を成長させてくれる。
まだまだ自分も足りないところが多いが、真摯に向き合って少しでも極めていきたい。
  (前田)