西白山台の家<竣工4>

リビングと続きに土間の一室を設けた。
当初の計画では和室をと思っていたが、土間空間の方が使い勝手に幅が出ると、施主からの要望で変更になった。こうした土間の部屋は、これまでも数軒建てたが、みなそれぞれに使いこなしていて、そんな情景をたまさか訪れて拝見すると嬉しくなる。
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             <土間から中庭を見る>
この土間は、アプローチから直接出入りができるようにしてあり、友人知人たちの突然の訪問や、ペットと遊ぶ一室としても有効だろう。階段下のペット部屋へもここから出入りができ、果たして住み始めてどのような使い方をされているのか、お会いした折にも話を伺ってみたい。
リビングとは格子戸で柔らかく仕切っていて、常に家の中が一室でつながるよう配慮した。
家族の様子がどこにいても感じられるようにという、ご主人の気持ちの強さを反映したものである。
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            <階段上部から室内を見る>
各所の色決めは、すべてご主人と奥さまに委ねた。もちろんアドバイスはしたが、建築への造詣深いお二人が、悩みながら決めていかれる姿はとても微笑ましかった。
「自分の家は自分たちで作る」
まさにそんな気持ちが現れていて、けして人任せにしない真剣なまなざしは、関わる職方にも強く伝わったことだろう。上棟式、竣工式と、常に我々に気遣って頂き、ことあるごとに大いに呑んで語り合ったのが懐かしく思い出される。
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              <夜景を望む>
また住む家は、夜の姿が大切だと思っている。
子供のころだけではなく、誰しもひとり帰る家に明かりが灯る姿を見ると、優しさに包まれたようにホッとすることだろう。
そうした安心は、家にとってかけがえのないものであり、家が家族の象徴となるためにも大事な要素と思っている。
木の家は、これからが楽しい。
次第に色づき艶を放つ木肌は、きっと住む人に光彩を与えてくれるはずである。その点、木は生きものであって、建築になった後からも、その命を我々に返してくれ、これからの暮らしを見守り支えてくれるに違いない。
  (前田)
設計監理   前田 伸治
       暮らし十職 一級建築士事務所
施 工    株式会社  大山建工