慧然寺落慶

今年の桜はあっけなかった。
例年楽しみにしている近所の桜があるのだが、今年は満開を見ることなく散ってしまった。春を感じる間もなくモミジの新芽が出てきて、新緑映える初夏も近い。

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                    <法要当日>
東京深川の慧然寺、ようやく先日落慶を迎えた。
開山の別伝和尚350年遠忌とともに、庫裏、書院の落慶法要が催された。工期末に来て長雨にたたられ、現場も右往左往したが、最後の週で晴れ間が続き、何とか完成にこぎつけられた。
当日は鎌倉の建長寺官長、円覚寺官長を迎え、ご住職の出頭のもと厳かにも盛大な法要となった。お会いした多数の檀家さんから御礼の言葉を投げかけられ、何となく面はゆい思いをしながらも、内心の嬉しさは格別だった。

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                <別伝和尚350年遠忌>
改装なった本堂での法要のあと、席を移して落慶祝賀会が開かれた。
檀家総代よりご祝辞を戴いたが、この日を皆さんがどれほど待ち望んできたかがひしひしと伝わり、お手伝いさせていただいたことに改めて感慨を深くした。
最初に話をお聞きしたときから厳しい工程は承知していたが、常に気を張っていたせいか、不安に陥ることはなかった。祝賀会では、これまでの工事全般を時系列に沿ってスライドで映し、参会者への紹介と、工事関係者一同を代表して、感謝をこめて挨拶をさせていただいた。

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                  <落慶祝賀会にて>
終わった後、再びお寺に戻って、新築なった書院で直礼に呼ばれた。
老師も出席してくださり、ご住職をはじめ職人らと一緒になって、これまでの工事の思い出などを語り合った。自分たちの作った建築で呑めることの嬉しさといったらない。
互いに肩を抱き合い、盃のやり取りが深更まで続いた。
近日、竣工写真を撮りに行って、改めて建物を紹介したい。
大きな仕事だけに、終わった後の虚脱感もあるかと思うが、まだ落ち着いていないせいか実感はない。式の翌日、数人を案内して建物を回ったが、皆の反応を見てホッとしている自分がいた。
  (前田)