青森県八戸市上徒士町
都市の中心部にほど近い一角に、若い4人家族の家を依頼された。
敷地は東西に細長く、西奥にご両親の住む家があり、その東隣の道路際が今回の計画地であった。都市部とあって準防火地域の制約もあるが、ご夫妻ともに木の家を熱望されていた。
ご両親へのアプローチ、3台の駐車スペース、将来的に子供たちが両親の家を改造して住むこともできるようにとの要望だった。同一敷地に2世帯を有機的に繋げ、都市部の雑踏にあって、少しでも豊かな空間をと模索した。
そこで、南側を両親の家のアプローチを兼ねた大きな外部空間として両家を結び、この外部空間に面した大きな開口を通して互いの存在が伝わり、時にはここでお茶やBBQをと、使う庭として機能させることで、日常の中に家族3世代の交流が育まれることをねらった。
玄関はアルコーブを作って奥行きを図り、1階はリビングダイニングを外部に接して配置し、かなめの位置にキッチンを据えた。和室は客間としての働きもあるが、リビングの延長として家族の居場所のひとつとなる。キッチン裏には、洗面、脱衣に続けて家事室を配置し、家事動線の簡略化を図った。
設計時から、家族が一緒に集まると同時に、各々が時々に好きな場所で過ごせるよう、多くの居場所を作りたいとの要望もあった。1階リビング奥のスタディルーム、2階の階段を上がったホールをセカンドリビングと名付けて設けたのもその一環である。セカンドリビングには、ご主人のランニングマシンや娘さんのピアノ、読書などができるカウンターも設けている。
大きな吹抜を介して家中が繋がり、どこにいても家族の存在が、居ながらにして伝わることが、その趣旨であった。
また寒冷地であることから、サッシはトリプルガラスを採用し、床下2台の空調機で全館空調を賄っている。