Now Loading

伊勢市観光協会

伊勢市観光協会

三重県 伊勢市

敷地面積
387.78m2
建築面積
152.81m2
延床面積
249.67m2
構造規模
木造2階建
施 工
株式会社 堀崎組
  • 第32回 三重県建築賞

伊勢の外宮近くに、このたび伊勢市観光協会が建てられることとなった。

周辺は開発が進み、伊勢の古い街並みはほとんど見られなくなった。道 路が広がることで街並みが崩れ、すっかり現代の町へと変わった。それが寒々しい印象を与えるのか、かつての活気が失せてしまったのが悲しい。

それでも、少し先には萬金丹の建物が残るなど、稀少だが往時を偲ばせてくれる建築もあるのだが。

設計の依頼があったとき、思ったのは伊勢の町家をシンボライズすることだった。外宮の杜をバックに、現代の町家として再生したい。またそれなら木造でと思ったが、こうした公共施設で建てることは難しい。しかしその点がクリアーされ、本格的な木造建築で建てられることとなった。

伊勢市の観光拠点として、これから来られる人たちに、建築も含めて伊勢の土地柄を知って貰いたいと計画に掛かった。

1階はここに集う人のための空間で、大きな板間が田の字型に連なる。切妻屋根に寄り添うよう大庇の部分が通り土間で、いってみれば建物のだいどころにあたる。

2階は事務部門で、外宮側は緑の杜が間近に見える。ここは伊勢大祭の会場近くとあって、拠点となりうる格好の場所のため、多目的な利用を想定して、屋根の上に大きな濡縁を載せた。宮川の花火大会の折りなども、よく見えるらしい。

伊勢の伝統的な切妻に南張り囲い、大庇を設け、道路側には下屋を差し掛ける。これがひとつの伊勢町家の形だが、高さのバランスや細かい納めなどのディテールが際立たないと、単なる模倣に終わってしまう。

伝統に取り組むには、相当の覚悟と熱意が必要だと、改めて気付かされた仕事だった。

伊勢市観光協会

前田 伸治
暮らし十職 一級建築士事務所

Shinji Maeda & Kurashijisshoku Archiects Office

1 /

First | Last

Back